鷲尾村夫子著 『気張りもんそ―西郷隆盛の生涯』 鷲尾村夫子氏(本名 鷲尾明俊 新21回卒)の『気張りもんそ―西郷隆盛の生涯』を読みながら、 ふと「人の心は金で買える」と広言していたライブドアの堀江貴文元社長(当時)や 「金儲けの何が悪いのですか」と開き直った村上世彰氏を思い出した。
 西郷隆盛のような大人物は稀であるとしても、しかし、かつての日本人は西郷のような純粋さや真心をもち、 私心を省みず、公に奉仕する心を理想としていたはずだ。 いつのまに私利私欲に走ることに恥ずかしさを感じなくなったのだろう。
 『気張りもんそ』は、副題に「西郷隆盛の生涯」とあるように、大西郷を主人公とした小説である。 小説とはいえ、事実に則ったものである。
 しかし、いわゆる歴史書ではないので、面白く、ついつい読み耽ってしまう。著者のこの筆力はさすがである。 「日本人の本当の生き方とは何か」を考えさせてくれる好著である。
 なお、本書は日本文学館最終選考入選作である。

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